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ブランド戦略に欠かせないブランドアイデンティティをつくるポイントを解説

ブランド戦略に欠かせないブランドアイデンティティをつくるポイントを解説

一般的にブランドといえば、ロゴマークやデザイン、カラー、名称など、またはそれらを組み合わせたものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。もちろんこれらもブランドを表現するものではありますが、すべて見た目のイメージにすぎず、見る人によって受け取る印象は変わってしまうこともあるでしょう。それでは他社との差別化にはつながらないうえ、本当に伝えたいことが顧客にも伝わりません。そこで、ブランド戦略を行ううえで重要となるのがこれらのイメージを言語化する、ブランドアイデンティティです。今回は、ブランドアイデンティティの重要性や明確にするためのポイントについてお伝えします。

まずブランド戦略の概要について知りたい方は「ブランド戦略はなぜ必要?ブランド戦略の立て方を5のステップで解説!」もあわせてご一読ください。

ブランドアイデンティティとは?

ブランドアイデンティティとは、自社が顧客に対して提供する価値を定義したものです。自社がどのような企業で、どのような製品・サービスがあり、それを利用することで顧客がどのような体験ができるのか、それを言葉にして表したものになります。

「ブランド」は、家畜を区別するためにつけた「焼き印」が語源です。つまり、それ自体に意味があるわけではなく、区別するための目印にすぎませんでした。しかし、ビジネスの世界におけるブランドは、競合と比べ何が違うのか、自社もしくは製品・サービスの特徴は何なのかを顧客に知ってもらうための戦略のひとつです。そのため、ブランド自体にも意味を持たせる必要があります。

ただ、冒頭でも触れたように、ロゴマークやデザイン、カラーだけでは、顧客によって受け取る印象は異なってしまいます。そのため、自社をどう見てもらいたいかは明確にメッセージとして伝える必要があり、そのメッセージこそが、ブランドアイデンティティです。

ブランドアイデンティティの重要性

ブランドアイデンティティを明確にすることは、企業がブランド戦略を行っていくうえで最も重要なポイントです。その理由としては次の点が挙げられます。

▶︎自社の統一したブランド戦略を行うため

ブランドアイデンティティはブランド戦略のあとについてくるものではありません。まずブランドアイデンティティがあり、それに応じてブランド戦略が策定されます。そのため、ブランドアイデンティティが明確にならないと、自社として統一したブランド戦略も実行できません。

▶︎社員間で共通の認識を持てるようにするため

自社や自社の製品・サービスのブランドアイデンティティをつくれば、自社が顧客に伝えるべきメッセージも明確になります。それが社員間での共通認識となるため、目指すべきゴールへ一体感を持って進んでいけるようになるでしょう。社員によってバラバラの方向を見ていると、企業として最大限の力は生み出せません。しかし、ブランドアイデンティティの明確化により社員間で共通認識が持てれば、皆で同じ方向を向けるようになり、相乗効果で高い成果を生み出せる可能性が高まります。

▶︎利益向上が期待できるため

ブランドアイデンティティは、自社の製品・サービスの価値を端的に伝える役割も果たします。そのため、見ただけでは伝わりにくい機能や利用することで得られる特別な体験も余すことなく伝えることが可能です。

その結果、顧客の購買意欲が刺激され、競合他社の製品・サービスよりも選択される可能性が高まり、利益向上も期待できます。逆にブランドアイデンティティが明確になっていないと、製品・サービスの特徴が伝わりにくくなり、競合との差別化も難しくなるでしょう。

ブランドアイデンティティをつくるためのポイント

社員間で共通の認識を持って統一したメッセージを顧客に伝え、競合他社との差別化を生み出せるようにするブランドアイデンティティ。では、実際にブランドアイデンティティをつくるには、どのような点に注意していけばよいのでしょうか。そのポイントを説明します。

▶︎自社のターゲットを明確にするための顧客分析を徹底して行う

ブランドアイデンティティをつくるためには、ブランドメッセージを誰に伝えるかを明確にしなければなりません。そこで重要となるのが顧客分析です。現在の自社の顧客層を把握し、自社のターゲットとしている顧客との相違を見たうえで、適切なメッセージを考える必要があるでしょう。

顧客分析の詳細は、「顧客分析とは? 既存顧客との関係性を深め、新規顧客を獲得するための顧客分析手法を解説」をご一読ください。

▶︎ブランドとしての約束事を明確にする

ブランドアイデンティティの確立は競合他社との差別化が欠かせませんが、それを実現するためには顧客との信頼関係の構築が重要になります。ここでポイントとなるのは、自らが顧客に対して約束事を発信し、それを守り続けることです。

顧客の要望を誠実に守り続けていくのも一つの約束ごとではありますが、「言われたことをやる」よりも、「自らが宣言したことをやり続ける」ほうが、信頼感は得やすくなります。受け身ではなく積極的に自らが約束事を発信し、守り続けることが重要なポイントです。

「地球環境に配慮した素材だけを使い続けます」「「手作り」にこだわり続け変わらぬ味を提供します」など、顧客にとって価値を感じられる約束事を明確にします。

▶︎顧客に伝えるべき価値を明確にする

顧客にどのような価値を提供できるかを明確にします。例えば、「利便性が高い」「機能が多い」といった「機能的価値」。「楽しい」「高揚感を得られる」といった「情緒的価値」。そして、顧客が自社の製品・サービスを利用することで、「先進的なイメージを演出できる」「誰からも好かれるイメージをつくれる」といった「自己表現価値」などが挙げられます。これらを言語化しましょう。

▶︎顧客に製品・サービスを身近にイメージしてもらいやすくする

ターゲットを明確にし、そのターゲットに伝える価値と製品・サービスの属性を決めたら次に、それらをどうターゲットに伝えればよいかを具体的にします。製品・サービスの種類によっても異なりますが、基本的には人が受け取りやすく、製品・サービスの特徴や価値を理解しやすい形にするのが最適です。

例えば、「〇〇のような」「まるで○○をしたような」など、既存の何かに例える方法。「優しさと強さの両面をあわせ持つ」「生真面目な」「おしゃれで繊細な」など、人の性格や特徴に例える方法などが考えられます。身近な例えをうまく取り入れることで、何かを見たり感じたりしたときにふと思い出してもらえるようなものにすると、親近感も持ってもらいすくなるでしょう。

自社のイメージを形づくるうえでも欠かせないブランドアイデンティティ

ブランド戦略では、自社の製品をいかにユーザーに第一想起してもらうかを重視し、競合他社との差別化を行っていく必要があります。そして、そのために欠かせない作業がブランドアイデンティティの構築です。ブランドアイデンティティをブランド戦略の中核とし、それをもとにブランディングをしていかないと、ブランドに統一感が出ずブレてしまい、顧客にもうまく伝わりません。

また、ブランドアイデンティティを明確にすれば、企業が目指すべきゴールも明示できるようになるため、社員の意識統一にも大きな効果を発揮するでしょう。そうした意味でも、ブランド戦略を行う際は、まずブランドアイデンティティを明確にすることから始めることをおすすめします。