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タウンホールミーティングとは?注目の背景や効果、成功のポイントを分かりやすく解説!

タウンホールミーティングとは?注目の背景や効果、成功のポイントを分かりやすく解説!

タウンホールミーティングとは、経営陣と社員が直接対話する集会のことです。経営のスピード感や現場との距離感を重視するアメリカでは、以前から当たり前のように実施されてきました。しかし、近年は日本でも市場の国際化やテクノロジーの進化などに伴い、よりスピーディーな経営が求められているのが現状です。そのため、タウンホールミーティングを実施し、現場の意見に積極的に耳を傾ける企業も増えてきています。

そこで今回は、タウンホールミーティングの意味や効果、注目されている背景などについて分かりやすく解説します。また、タウンホールミーティングを成功させるポイントも紹介しますので、ぜひ社内で実施する際に参考にしてみてください。

タウンホールミーティングとは?

タウンホールミーティングとは、そもそもどのような意味の言葉なのでしょうか。
ここでは、タウンホールミーティングの定義や主な開催形式について解説します。

(1)タウンホールミーティングの意味

タウンホールミーティング(対話集会)とは、企業の経営陣と社員が直接対話できる集会のことをいいます。経営陣から自社の経営戦略や展望、企業理念について語ったり、逆に社員から経営に対する改善案や意見をもらったりする場です。企業は規模が大きくなるにつれて、どうしても経営陣と現場の距離が離れてしまいます。だからこそ、こうして経営陣と社員がじかに顔を合わせ、意見を交わし合う場を積極的に設けることが非常に重要です。

もともとタウンホールミーティングは、「タウンミーティング」という言葉に由来しているといわれています。タウンミーティングとは、自治体の首長が住民のもとへ足を運び、街づくりに関する意見を交換し合う集会のことです。「決定権のある人が現場の声を積極的に聞く」という意味では、共通する部分も多いと言えるでしょう。

(2)タウンホールミーティングの開催形式

タウンホールミーティングの開催形式は、企業ごとに異なります。開催時間は30分~1時間が平均的で、頻度としては「月1回」や「四半期に1回」などのペースで実施されることが一般的です。また、参加人数も企業によってさまざまで、「社長1名と社員全員」「役員数名と各拠点のメンバー」などで開催されています。従来は参加者が一堂に会して行われていましたが、近年は感染防止の観点から対面での開催が難しくなっている状況です。そのため、各拠点をオンラインでつなぎ、Web上でタウンホールミーティングを実施する企業も増えています。

タウンホールミーティングが注目されている背景とは?

タウンホールミーティングはなぜ今、注目を集めているのでしょうか。
ここでは、タウンホールミーティングが重要視されている時代的な背景について解説します。

(1)社会や市場の激しい変化

近年はグローバル化やテクノロジーの進化によって、社会全体が目まぐるしく変化しています。従来の経営手法や事業が急に通用しなくなり、企業が市場から撤退を余儀なくされてしまうケースも珍しくありません。こうした激変の時代において、企業がトップの判断だけで経営を進めるのは困難と言えます。だからこそ、タウンホールミーティングによってボトムアップの社風を醸成し、全社でノウハウやアイデアを共有し合う姿勢が必要です。

(2)終身雇用の崩壊

近年は不安定な社会状況から、終身雇用の維持が難しくなりつつあります。転職が当たり前になっている今、人材の自社に対する帰属意識も低下しているのが実情です。企業としては社員一人ひとりに「自社で働くことの意義」を感じてもらい、人材の流動化を防ぐ必要があります。その点、タウンホールミーティングは経営陣から社員に、じかに想いを伝える貴重な機会です。社員の自社に対する共感や信頼を獲得し、離職を防げる可能性もあります。

(3)労働観の多様化

最近ではワーク・ライフ・バランスの重要性が叫ばれ、テレワークやフレックスタイムなどの柔軟な働き方が各社で導入されています。その結果、「出世するより無理なく自分の仕事に向き合いたい」「仕事とプライベートをどちらも大事にしたい」というように、社員の労働観も多様化している状況です。そのため、企業がトップダウンで一方的に価値観を社員に押し付けるのは非常にリスクが高いと言えます。タウンホールミーティングで経営陣が社員の声に耳を傾けることで、より多様性のある社風になり、社員の意欲向上も図れるでしょう。

タウンホールミーティングの効果とは?

タウンホールミーティングを実施することで、企業にどのような利点があるのでしょうか。
ここでは、タウンホールミーティングの主な効果について解説します。

(1)イノベーションが起きやすくなる

市場のリアルな動向や顧客の要望などに関しては、経営者よりも現場の社員の方が詳しい場合もあります。そのため、タウンホールミーティングで経営陣が現場の声を収集することで、経営を変革するようなアイデアが生まれることもあるでしょう。社内でイノベーションが起きやすくなり、時代の変化に対応しやすくなります。その結果、企業としてよりスピーディーに成長でき、市場での確かなポジションを築くことも可能です。

(2)企業理念や風土が浸透しやすくなる

企業理念やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、どうしても社員から親しみを持たれにくく、なかなか浸透が進まないケースもあります。その点、タウンホールミーティングを実施することで、経営者からじかに自分の言葉で企業理念やMVVの意義を発信できます。結果的に社員から共感を集めやすくなり、組織文化が現場へ浸透しやすくなるでしょう。組織に一体感が生まれれば、パフォーマンスの向上も期待できるようになります。

MVVについて詳しく知りたい方は、『ミッション・ビジョン・バリューとは?必要な理由や作り方のポイントを解説!』の記事もあわせてお読みください。

(3)社員のエンゲージメントが向上する

経営層と現場の距離が遠いと、どうしても社員は自社に対する愛着(エンゲージメント)を感じにくくなります。その点、タウンホールミーティングによって社員が経営陣に対して親しみを持てるようになれば、帰属意識の向上も期待できるでしょう。結果的に社員一人ひとりのエンゲージメントが高まり、日々の仕事に対するモチベーションの向上も見込めます。ひいては、早期離職の防止や定着率の改善という効果につなげることも可能です。

タウンホールミーティングを成功させるポイントとは?

タウンホールミーティングを実施する際には、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。
ここでは、タウンホールミーティングを成功させるためのポイントについて解説します。

(1)アイスブレイクから始める

タウンホールミーティングでは、社員が経営陣に対して心理的な距離を感じ、緊張や委縮をしてしまうことも考えられます。そのため、経営陣がいきなり本題に入るのではなく、アイスブレイクから始めることも大切です。クスッと笑える話や日常にまつわる話から始めると、社員に親近感を持ってもらいやすくなります。両者の心理的な距離が縮まれば、社員から意見や質問なども活発に生まれるようになり、より実りある会になるでしょう。

(2)ファシリテーター(進行役)を配置する

タウンホールミーティングの限られた時間を有効活用するには、タイムスケジュールの管理がカギになります。経営陣に司会を任せきりでは、本人たちがプレゼンで話し込んでしまい、質疑応答の時間がとれないというトラブルも起こり得るでしょう。そのため、初めてのタウンホールミーティングではファシリテーター(進行役)を配置することもひとつの方法です。スムーズに会を進行できれば、その分だけ社員や経営陣の満足度も高められます。

(3)議題は1~3つに絞る

タウンホールミーティングは時間も限られているため、幅広いトピックを伝えようとするとすべてが中途半端になる可能性があります。そのため、あえて議題は1~3つ程度に絞ることがポイントです。例えば、「経営理念に思うこと」「変化の時代に対応するためのアイデア」「より働きやすい環境づくりに向けて」などが挙げられます。テーマが絞られている方がひとつの議題について深く議論でき、多くの社員に意見を発してもらえるでしょう。

(4)質疑応答の時間を十分に設ける

タウンホールミーティングの目的は、「経営陣と社員の相互理解」にあります。経営陣が一方的にプレゼンするだけでは、社員の意見が経営にも反映されません。そのため、質疑応答の時間を十分に設けるようにしましょう。社員に率直な意見を発信してもらうことで、経営陣側は貴重なアイデアを得ることができます。加えて、社員も「経営陣が自分の意見に真摯(しんし)に耳を傾けてくれた」と感じることができ、満足度も高まるでしょう。

ちなみに社員に遠慮せず意見を発してもらうためには、「心理的安全性」の確保が重要です。心理的安全性とは、「何を言っても非難や拒絶をされないという安心感」のことを言います。社員に心理的安全性を感じてもらうには、普段から社内コミュニケーションを積極的に実施し、経営陣と社員の距離を縮めておくことも大切です。そのため、社内報や理念浸透研修といった社内コミュニケーション施策もあわせて実施することをおすすめします。

社内コミュニケーション(インターナルコミュニケーション)について詳しく知りたい方は、『社内コミュニケーションの重要性とコミュニケーション活性化を実現させるポイント』の記事もあわせてお読みください。

(5)チャットツールを活用する

オンラインでタウンホールミーティングを実施する際には、参加者の顔が見えにくい分、質疑応答に手間取ってしまう可能性があります。そのため、チャットツールを活用して、随時質問を募集することも有効な方法です。チャットツールであれば、意見を発信する際の心理的なハードルも下がるため、社員からより多くの質問を集めやすくなります。また、チャット内で寄せられた質問を議事録として残し、経営に生かすこともできるでしょう。

まとめ

タウンホールミーティングは、近年注目を集めるインターナルコミュニケーション施策のひとつです。定期的にタウンホールミーティングを実施することで、経営層と現場の距離を縮め、エンゲージメントの向上を図れるでしょう。また、インターナルコミュニケーション施策は、ほかにも社内報や理念浸透研修、1on1ミーティングなどをはじめ、多岐にわたります。複数の施策を組み合わせて実施することで、より高い成果につなげることが可能です。

当社では、創業100年以上にわたって培ってきたノウハウを生かし、企業のインターナルコミュニケーションを支援しています。社内報やブランドブック、社内研修をはじめ、多様な施策を企画・実施し、企業理念の浸透やエンゲージメント向上をサポートします。インターナルコミュニケーションに課題をお持ちの際には、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。