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ターゲティングとは?自社の顧客を見つけ出すための戦略やポイントを解説

ターゲティングとは?自社の顧客を見つけ出すための戦略やポイントを解説

企業が製品・サービスを開発する際、誰に向けたものなのかを明確にしたうえで開発を進めるのが一般的です。老若男女すべてに販売できる製品・サービスは少なく、ほとんどの場合、企業はターゲットに向けた開発・販売を行います。このターゲットを絞り込む作業がターゲティングです。そこで、今回は企業が製品・サービスを販売するうえで、その成果を最大限に高めるターゲティングについて、その重要性や手法、フレームワークのポイントをお伝えします。

ターゲティングとは?

ターゲティングとは、製品・サービスを販売するターゲットを絞り込む作業だと冒頭で触れましたが、何もないところから急にターゲットを絞り込むわけではありません。マーケティングを行う際、「STP分析」というターゲットを絞り込む手法があります。STPとは、「セグメンテーション(Segmentation):市場の細分化」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning):競合他社商品との差別化」の頭文字を取った言葉です。

そして、マーケティングを行っていく際は、このSTPの順番で進めていきます。つまり、ターゲティングを行う前にまずセグメンテーションを行わなければなりません。なぜなら、どのような市場があるかを明確にしておかないと、ターゲティングが行き当たりばったりになり非効率なうえ、精度も落ちてしまうからです。

セグメンテーションの方法

市場を細分化させる方法はいくつかありますが、主なものは次のとおりです。

▶︎地域

住んでいる地域の地形、文化、気候など、地理的な違いをもとにセグメントする方法です。例えば、食品の場合、ある地域では濃い味が好まれ、ある地域では薄味が好まれるなど、それぞれの地域特性によって、分類します。

▶︎人

性別、年齢、職業、収入、家族構成などパーソナルな情報をもとにセグメントします。例えば、男性向け・女性向けのほか、ホワイトワーカー、ブルーワーカー、独身者、子育て中などで分類します。

▶︎ライフスタイル

価値観や性格、興味関心ごと、趣味、好きな店や行動履歴など、人のライフスタイルに関する事柄でセグメントする方法です。スマートフォンの普及もあり、大量のデータを入手できるようになったため、より細分化した分類が可能になっています。

▶︎消費行動

顧客が自社の製品・サービスを購入する際の消費行動でセグメントする方法です。既存顧客、新規顧客、購入回数、購入額、頻度などで分類します。主に自社を認知している顧客の行動をもとに、既存製品に機能を追加した新商品や契約更新を行う際に利用される方法です。

これらのセグメンテーションを行い、分類したなかでどの層の人をターゲットにするかを決めていきます。そして、決めたターゲットに対し、製品・サービスのブランディングを行うのが、ポジショニングです。

自社の製品やサービスのブランディングをしていくうえで重要なポイントについては、「ブランド戦略はなぜ必要?ブランド戦略の立て方を5のステップで解説!」をご一読ください。

ターゲティングの重要性

製品・サービスの開発・販売を行ううえで、ターゲティングは重要な要素のひとつであると言えます。主な理由は次のとおりです。

▶︎開発・販促コストの低減

ターゲティングを行うには、セグメンテーションによって分類した顧客の分析が欠かせません。そのなかで顧客が抱える課題も明確になるため、顧客がどのような機能を求めているかも分かり、開発時に適切な機能設計が可能です。

また、販促も課題解決を求める層に対して集中的に行えるため、無駄な販促コストの低減が実現します。

▶︎自社の製品・サービスを求めていない顧客にメッセージが届きにくくする

マーケティングでは、自社の製品・サービスを必要としている顧客に的確にメッセージを送ることが重要です。しかし、それと同時に自社の製品・サービスを求めていない顧客にメッセージを届きにくくする必要もあります。

顧客にとって今必要のないメッセージが頻繁に届くというイメージを持たれれば、いざ必要になったときでも、避けられてしまうリスクがあります。顧客にとって適切なメッセージを適切なタイミングで届けるためにも、ターゲティングは欠かしてはならない作業なのです。

ターゲティングを実施する際のフレームワーク

セグメンテーションを行っていても、実際にターゲティングを行っていく際に適切な手法で進めていかなければ、戦略的なターゲティングは困難です。そこで、ターゲティングを行う際に活用するフレームワーク、「6R」を説明します。

  1. Realistic Scale(適切な市場規模かどうか)

製品・サービスには販売目標が設定されます。ターゲティングは必ず販売目標を前提として行わなければなりません。確実にターゲットが存在する市場だとしても、その規模が小さすぎれば販売目標の達成は難しくなるでしょう。ただ、大きな規模の市場になると、その分競合も増えるため、販売目標を見据えつつ、適切な市場規模の見極めが重要です。

  1. Rate of Growth(市場の将来性はあるか)

今、現在の市場規模が自社の販売目標と合致したとしても、1年後や2年後に衰退してしまう市場では、長期的な販売戦略が立てられません。逆に、今それほど大きくない市場でも、将来的に数倍に拡大する可能性のある市場であれば、あえてそこにターゲティングするのもひとつの方法です。

そうした意味で短期売り切りの製品でない限りは、選択した市場が将来的に成長していけるかどうかの見極めも欠かせません。

  1. RankRipple Effect(顧客の優先順位/波及効果があるかどうか)

セグメンテーションによって行ったターゲティングは、必ずしもひとつとは限りません。製品・サービスによっては、複数ある場合もあるでしょう。興味関心、比較検討などの検討段階は顧客によって状態が異なります。そのため、どの段階のターゲットに優先してメッセージを伝えるかを明確にしましょう。

また、その際はSNSで拡散されるか、周りの友人・知人に紹介されるかどうかなど、波及効果も踏まえて進めていくようにします。

  1. Reach(顧客へ到達する可能性が高いかどうか)

例えば、実店舗しかないのにもかかわらず、まったく別の地域に住む人をターゲットにしても意味がありません。ターゲティングを行う際は、リアル・ネットを含め、そのメッセージを受け取った顧客が行動可能な範囲に限定する必要があるでしょう。

  1. Rival(競合他社の状況はどうか)

ターゲティングを行う際は、市場調査も必要ですが同時に競合調査も必須です。例えば、自社製品のアピールポイントが、「100件の導入実績」だとします。しかし、同じ市場にいる競合の導入実績が300件では、自社のアピールポイントはまったく意味を成しません。そのため、ターゲットにしたい市場の競合調査は必ず行うようにしましょう。

  1. Response(顧客の反応を測定できるかどうか)

インターネットの普及もあり、人々の消費行動はより複雑化しています。そのため、時間がたてば自社がターゲットとしている層が別の市場に移ってしまうケースも少なくありません。これを避けるには、できるだけ顧客の反応を測定し、定期的に効果検証を行う必要があります。そこで、戦略を実践する際は、効果検証までを想定して行うようにしましょう。

適切な相手に適切なメッセージを適切なタイミングで届けるには、ターゲティングが重要

人々の興味関心、ライフスタイル、消費行動は大きく変わっています。それは、BtoCだけではなくBtoBであっても同様です。そのため、従来に増して市場の細分化が進んでいます。これを的確につかむためには、STP分析が欠かせません。そのなかでも特に重要なのがターゲティングです。

ただ、やみくもにターゲティングを行っても、適切なターゲットは見つけられません。重要なポイントは、6Rのフレームワークの効果的な活用です。セグメンテーションをしっかりと行ったうえで、6Rを活用し、自社の製品・サービスを求める顧客を見つけ出しましょう。