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なぜ社員アンケートが必要なのか?企業経営に生かせるアンケートの手順とポイント

なぜ社員アンケートが必要なのか?企業経営に生かせるアンケートの手順とポイント

利益を生み出すための施策の成果は、数値として明確に表されます。成功した場合はもちろん、失敗してしまった場合でも、数値を読み取ることである程度の原因究明も可能でしょう。しかし数値だけでは読み取れないものも少なくありません。例えば、「社員の自社に対する考え」「仕事に取り組む意欲」「社員が感じている現状の課題点」などが挙げられます。これらを明確にし、企業経営に生かしていくために欠かせないのが社員アンケートです。今回は社員アンケートの重要性や効率的に進めて行く手順、ポイントについてお伝えします。

社員アンケートの目的と重要性

社員アンケートを実施する目的は企業により異なりますが、一般的な目的としては次の2点が挙げられます。

  1. 現状の満足度を確認する

社員の現状把握が社員アンケートの目的のひとつです。自社の方針や職場環境、部署ごとに行っている施策に対して、社員がどのように考えているのかを確認します。

「自社方針を理解している社員はどの程度いるのか」「職場環境に満足しているか」「施策に対して積極的に取り組めているか」「管理職が社員を適正に管理できているかどうか」などが分かり、現状把握が可能です。

  1. 社員の意見を収集する

「自社が抱える課題点について、どのような解決策が適切か」「現時点で不満に感じている部分について、どうすれば満足感を得られるようになるか」など、経営層が気づいていない現場の声を収集するのも、社員アンケート実施の目的です。また、社員の意見を聞くことで、社員が自社に対してどのような思いを持っているかも見えてきます。

社員アンケートの実施が重要な理由

自社の現状把握や社員の意見収集を行ううえで、なぜ社員アンケートが有効なのか、企業にとって社員アンケートが重要な理由は次の3点です。

  1. 目的達成の効率化

自社の現状把握や意見収集を実現させる方法としては、社員アンケート以外にも個別面談があります。しかし企業規模にもよりますが、個別面談は時間がかかるというデメリットがあり、課題に対してタイムリーな解決策を実施できない可能性もあるでしょう。

そうした意味で、前述した目的を迅速に達成させる手段として、社員アンケートは非常に効率的だと言えます。特にテレワークが定着しつつある今、ネットを使えば自宅からでも簡単に回答ができるのも、社員アンケートが効率的な手段である理由のひとつです。

  1. 匿名による多様な意見の収集

個別面談は対面のため、より詳細な意見を聞けるメリットがあります。しかし、上司に対して会社への不満や課題点を正直に口にするのは簡単ではありません。

社員アンケートは匿名で行えば、個別面談に比べて自由な意見を述べられます。その結果、多様な意見の収集が可能になるでしょう。

  1. 属人性に頼らない意見収集が可能

面談の目的が決まっていたとしても、個別面談となると対面でのやりとりになるため、どうしても質問内容が人によって異なってしまう場合があります。そうなれば出てくる回答も人によって異なり、分析結果も曖昧になってしまう可能性があるでしょう。

社員アンケートは属人性を排し、企業全体で質問内容を統一できるため、回答の分析がしやすくなり、結果として課題抽出もしやすくなります。

社員アンケートに欠かせない項目の考え方

「社員が考える社内の課題を明確にし、迅速な解決策を検討する」「自社方針の理解度を確認・浸透させる」「自社に対する多様な意見を収集する」などを実現するうえで効果を発揮する社員アンケート。しかし、適切に実施しないと前述したような効果は得られません。適切な効果を得るためのアンケート項目を決めるうえで、重要なポイントは次の2点です。

  1. 社員アンケート実施の目的を明確にする

社員アンケートを実施する目的を明確にします。「福利厚生に対する満足度を知りたい」「業務で課題だと感じているものを知りたい」など、社員の何を知りたいと思って社員アンケートを行うのかを明確にしましょう。目的が明確になれば、おのずとどのような質問をすればよいのかも見えてきます。

  1. 定期的なアンケートとその都度行うアンケートを分けて考える

社員アンケートは、そのときに知りたいことを迅速に聞くことができます。例えば年度末に、「経費節減のためあまり使われていない福利厚生の一部を廃止したいと思いますがどうですか?」といった質問をすることにより、タイムリーな意見も収集可能です。

しかし自社の方針や課題解決の度合い、職場環境の満足度などのように、定期的にアンケートを実施することで改善具合が見えてくるものもあります。これらについては、一度だけではアンケートを行う意味がありません。ただ、定期的に行うアンケートとその都度行うアンケートを一緒にしてしまうと、回答が散漫になってしまう恐れがあります。こうした性質の異なるアンケートは、基本的には別々に行うことを前提に質問項目を検討しましょう。

社員アンケートで回答率を上げるための手順とポイント

次は実際にアンケートを行う手順と回答率を上げるためのポイントを見ていきましょう。

社員アンケートの手順

  1. 調査対象の選定

全社員に対してアンケートを行うのか、一部の社員に対して行うのかを決めます。基本的には全社員が対象でも問題ありません。

  1. 調査方法の選定

「匿名で行うのか、実名で行うのか」「紙で行うのか、ネットを使って行うのか」など、どのような方法で調査を行うかを決めます。

  1. 依頼文の作成

社員アンケートを実施するうえで、回答・提出を求める依頼文を作成します。「どのような目的で行うのか」「どのぐらいの時間でできるのか」「前回のアンケート結果をもとに改善を行った成果」などを明記し、アンケートへの参加によって社員にどのようなメリットがあるのかを明確にしましょう。

  1. 集計・分析

アンケートの回答を集計して分析をします。

  1. 分析結果をもとにした改善策の実施・情報公開

分析結果をもとに改善策を立案し、実施します。その結果はできるだけ全社員に公開し、自分たちの意見がどのように反映されているかを共有しましょう。それが会社に対する信頼感を生み、次回のアンケート参加にもつながります。

社員アンケートの回答率を上げるためのポイント

目的を明確にし、適切な質問項目を設定したとしても、必ずしも回答率が上がるとは限りません。では、回答率を上げるためにはどのような工夫が必要なのでしょうか。ポイントは次の3点です。

  1. 質問はわかりやすく具体的な内容にする

例えば、「あなたの上司はあなたが仕事の進め方で困っている際、適切なアドバイスをくれますか?」といった質問に対して、課長はアドバイスをくれるが係長はくれないといった場合、「はい」か「いいえ」かでは回答ができません。質問はできる限り具体的にしたうえで、漠然と広範囲を問うのではなく、質問内容がすぐにわかる簡潔明瞭な文にしましょう。

  1. 選択式と自由回答のバランスを考える

自由回答を増やせば、より詳細な意見が聞けますが、回答率が下がってしまう可能性があります。また、集計・分析の際に多くの時間を費やすことになるでしょう。そのため、基本的には選択式とし、重要なポイントのみ自由回答とすると、回答率向上が期待できます。

  1. 選択式は選択肢不足にならないように注意する

選択式の質問は自由回答に比べ回答率が上がる可能性は高いものの、選択肢によっては逆に下がってしまう場合もあります。質問内容によっては、「はい」と「いいえ」のどちらでもない場合もあるでしょう。そのため、選択肢を作る際は、「よくわからない」「どちらも該当しない」などの選択肢も加えます。そのうえでどうしても意見が欲しい場合は、「はい」「いいえ」以外を選択された方用に、その理由を書く「自由回答欄」を用意しましょう。

回答率を上げるポイントは事前に試してもらうこと

 さまざまなメリットがある社員アンケートですが、明確な目的を持ったうえで質問項目を決め、回答率を上げる質問文にするために工夫をしないと、思ったような効果は見込めません。

今回、回答率を上げるポイントを3つ紹介しましたが、最も重要なポイントは、実際にアンケートを実施する前に何人かに試しに回答してもらうことです。そのうえで、「質問文の意味が分からない」「選択肢のなかに自分の答えに合うものがない」などの意見をもらい、修正していくとよいでしょう。

また、分析をもとに改善を行った成果を共有し、次回のアンケートであらためて同じ質問をすることも重要です。それで満足度が上がっていれば、改善策が成功したと判断できます。もちろん、上がっていなければ別の形で改善をする必要があるでしょう。このPDCAを回していけば、アンケートを行う意味が社員にも理解され、回答率も上がるでしょう。

当社では、アンケートやワークショップ、社内研修の企画・制作を通じて、インターナルコミュニケーションの活性化をご支援しています。ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。