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差別化戦略とは?価格競争に陥らない企業の戦い方・成功のポイントを解説!

差別化戦略とは?価格競争に陥らない企業の戦い方・成功のポイントを解説!

「差別化戦略によって、自社のブランド価値を高めたい」と考えている企業も多いでしょう。

実際、差別化戦略をうまく実現することによって、消費者から唯一無二のブランドと認められ、価格競争から脱却することが可能です。しかし、「何を軸に差別化すればいいのか」「差別化によって逆にリスクが生じないだろうか」と迷ってしまい、なかなかブランド戦略の変更に踏み切れないケースも少なくありません。

そこで本稿では、差別化戦略のメリットやデメリット、差別化の軸や成功のポイントについてわかりやすく解説します。ぜひ自社の経営戦略を見直し、競合に負けないブランドを目指す際の参考にしてください。

そもそも差別化戦略とは?

差別化戦略とは、他社の製品と比べて特異な価値を生み出すことにより、競争上の優位性を築く戦略のことをいいます。アメリカの経営学者マイケル・ポーター氏が提唱した、「3つの基本戦略」のひとつに含まれます。3つの基本戦略とは、以下のとおりでです。

◆コスト・リーダーシップ戦略:コストダウンを実現し、「価格の安さ」で競合製品と勝負する戦略
◆差別化戦略:性能やデザイン、サービスの手厚さなどの特異性をつくり出し、独自の地位を築く戦略
◆集中戦略:あえてターゲットや販売地域などを絞ることで、競合に負けないポジションを築く戦略

差別化戦略は、単に競合製品との「違い」を打ち出すのではなく、顧客から「高い価値」を認めてもらう戦略です。他社と差別化できるような価値を創造できれば、たとえ価格が高くても購入してもらえるようになります。

差別化戦略のメリットとは?

差別化戦略を成功させることで、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、差別化戦略のメリットを3つ挙げて解説します。

(1)価格競争に陥らなくなる

差別化戦略が成功すると、顧客に「たとえ値段が高くても買いたい」と思ってもらえるようになります。その結果、競合企業との低価格競争に陥らなくなり、安定した収益につなげることが可能です。また、市場で確固たるポジションを築いておけば、新規参入を考える企業も減り、基盤の安定につながります。

(2)安定したリピート顧客を得られる

近年は市場にモノがあふれ、製品が消費者から選ばれ続けるのは難しくなっています。差別化戦略によって独自の価値を顧客に提供していれば、コアなファンを多数獲得でき、顧客離れも起きにくくなるでしょう。たとえ原材料の高騰や設備投資のために価格を上げることになっても、顧客から選ばれ続け、長期的な収益につなげられます。

(3)社内の活性化につながる

差別化戦略で製品のブランディングに成功すれば、社員が自信を持って製品を顧客に提案できるようになります。社員が仕事に誇りを持てるようになるため、組織全体のモチベーション向上にもつながるでしょう。また、製品の対外的な評判が高まることで、社外から優秀な人材が集まりやすくなり、さらに社内の活性化を図れます。

差別化戦略のデメリットとは?

数多くのメリットがある差別化戦略ですが、必ずしも成功が約束された戦略ではありません。
ここでは、差別化戦略を行ううえでのデメリットをふたつ挙げて解説します。

(1)「顧客離れ」が起きる可能性もある

差別化戦略を図る際には、市場の状況や顧客のインサイトなどを入念に調べる姿勢が必要です。差別化戦略を誤ると、顧客が商品に対して価値を感じられなくなり、売上が下がってしまう可能性もあります。顧客離れが起きてしまうと、最悪の場合は市場からの撤退を余儀なくされる可能性もあるでしょう。

(2)優位性の確立に時間がかかる

差別化戦略を行うには、まず市場研究を重ねて、独自性のある製品を開発する必要があります。そのうえでブランディングのために広告・宣伝し、顧客に価値を知ってもらうことも必須です。このような一連の流れは一朝一夕には実現できず、ときには顧客からブランドを認知されるまでに長い年月がかかることもあります。

差別化戦略の軸になる要素とは?

差別化戦略を実現する際は、どのような要素で他社と差別化を図ればよいのでしょうか。
ここでは、差別化戦略の「軸」になる要素を4つに分けて解説します。

(1)製品・サービスの性能

製品やサービスそのものに他社とは異なる性能・付加価値を持たせれば、差別化につながります。例えば、メーカーであれば「製品のスペックが高い」「簡単に操作しやすい」、飲食店であれば「健康的な有機野菜のみを使う」「居心地や雰囲気が良い」、美容院であれば「カットの技術が高い」「コンテストの受賞歴がある」などが挙げられるでしょう。品質や性能が高いことは非常にわかりやすい価値なので、顧客からも選ばれやすくなります。

(2)サービスの手厚さ

品質や性能は同水準でも、顧客に深く寄り添って手厚いサービスを提供していれば、差別化できることもあります。例えば、メーカーであれば「顧客の要望に合わせてオーダーメイドで設計できる」、飲食店であれば「店員が顧客一人ひとりの名前を覚え、親身に接客する」、小売店であれば「専任のコンシェルジュが商品選びを手伝う」などが挙げられます。サービスの手厚さは、「自分を大切にしてくれている」という顧客からの安心感にもつながります。

(3)チャネルの豊富さ

販売チャネルが豊富であることも、差別化のポイントです。小売店を例に出せば、実店舗だけでなくネットショップも開設することで、顧客の利便性は高まるでしょう。また、店舗が主要駅から徒歩圏内にあったり、車を停めやすい場所にあったりという「立地の良さ」も、顧客から選ばれる理由になります。このように販売チャネルや立地を工夫することで、「思いついたときすぐ利用できる」という顧客からの信頼感を高めることが可能です。

(4)背景のストーリー

ブランドの持つ「ストーリー」で顧客の感情に訴えかけ、差別化を図ることもあります。例えば、「1本の木にたった数個しか実らない品種」といった限定感を醸成したり、「品質の良いものだけを提供したいので、すべて手作業で作っている」といったこだわりを伝えたりするのも代表的な手法です。また、「肌にコンプレックスを持っていた研究員が、同じ悩みを抱える人を救うために開発したスキンケア商品」のように開発者の想いを語る方法もあります。ストーリーは共感を呼びやすく、顧客に製品への親しみを感じてもらえるでしょう。

差別化戦略を成功させるポイントとは?

差別化戦略を成功させるためには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。
ここでは、差別化戦略を実行する際のポイントを3つに分けて解説します。

(1)競合他社のポジショニングを探る

差別化できる要素を見つけるためには、まず競合他社の動向を探ることも重要です。飲食店の例でいうと、ベンチマークとしている店舗が「高級路線」で勝負しているのなら、自社は「健康志向」や「接客の親しみやすさ」で差別化を図るという戦略もあります。このように、競合他社の戦い方を研究することで、市場で「空いているポジション」を見つけやすくなるのです。唯一無二のポジションで戦えば、顧客からも選ばれやすくなります。

(2)顧客のニーズを研究する

差別化戦略は、あくまで顧客から価値を認められてはじめて成功につながります。そのため、顧客のニーズを研究し、それを積極的に差別化の軸にすることも有効です。例えば、顧客が「A社の家電製品は性能が高いが、電力使用量が多い」という悩みを持っていたとしましょう。それを踏まえ、できるだけ電力の消費が少ない「省エネ製品」を開発すれば、顧客から価値を感じてもらいやすいはずです。普段から顧客アンケートや相談窓口を活用し、「顧客が不満に感じていることは何か」を探っておくと、意外な差別化ポイントが見つけられるでしょう。

(3)自社だけの強みで差別化する

差別化戦略を図る際は、自社の強みを差別化の軸に設定することも大切です。例えば、商品の仕入れネットワークがまったく整っていない小売店が、「品ぞろえの豊富さ」で差別化しようとしても難しいでしょう。できるだけ「勝てそうなポイント」で差別化を図ることで、他社にはまねできない価値を生み出しやすくなります。そのためには、自社製品の強みや弱み、社内のリソース、顧客からの評判などを普段から把握しておく姿勢も重要です。

まとめ

差別化戦略を考える際には、自社を取り巻く市場・顧客・競合の情報を研究し、自社のポジショニングを捉え直す姿勢が欠かせません。ただし、自社の社員だけでブランド戦略を考えていると、つい「自社が売り出したいポイント」に目がいき、顧客や競合他社の視点を見失ってしまうこともあります。より客観的にブランドを分析し、戦略を成功に導くためには、第三者である社外の協力者にアドバイスを求めることもひとつの手です。

当社ではさまざまなブランドマーケティングの施策を通じて、企業のファン獲得を支援しています。ブランドの現状を入念にヒアリングしたうえで、差別化戦略を立案し、利益向上につながるようなブランディング施策を提案することが可能です。ブランド戦略の見直しをご検討の際には、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。