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インサイトの意味とは?マーケティング戦略における重要性や調査方法を解説!

インサイトの意味とは?マーケティング戦略における重要性や調査方法を解説!

「消費者インサイトを分析して、マーケティング戦略や商品・サービス開発に生かしてみたい」と考えている企業も多いのではないでしょうか。近年はモノがあふれる時代だからこそ、顧客や消費者の潜在的な心理(インサイト)を見抜き、先回りして商品・サービスを展開する姿勢が欠かせません。そのため、インサイトの意味や調査方法を正しく知っておくことが大切です。

そこで本稿では、「そもそもインサイトとは?」という基本的な部分から、「インサイトの重要性」や「具体的な調査方法」まで分かりやすく解説します。また、インサイトを分析する際の注意点も紹介しますので、ぜひ実際に調査に取り組む際の参考にしてみてください。

そもそもマーケティングにおけるインサイトとは?

そもそもマーケティング領域において、「インサイト」とはどのような意味を持つのでしょうか。
ここでは、インサイトという言葉の意味や事例、「ニーズ」との違いについて解説します。

(1)インサイトの意味

インサイトとは、消費者や顧客が心の奥で抱えている「購買動機」のことを言います。特にマーケティング領域では、「消費者インサイト」や「顧客インサイト」と呼ぶことが一般的です。インサイトは消費者や顧客が商品・サービスを選ぶときの“決め手”になる欲求のことですが、本人がそれを自覚できていないという特徴があります。近年はこのインサイトを調査・分析することで、市場にない新たな商品・サービスを開発しようという企業が増えているのです。

(2)ニーズとの違いとは?

よく似た言葉に「ニーズ」があります。端的に言えば、ニーズとは消費者や顧客が抱えている欲求のことです。ニーズには、すでに言語化されている「顕在ニーズ」と、本人が無意識に抱えている「潜在ニーズ」の2つがあります。例えば、消費者が低カロリー食品を手に取ろうとするとき、「太りたくない」は顕在ニーズです。その言葉の奥には、「周囲から『やせている』と褒められたい」といった心理があり、これを潜在ニーズと呼びます。

ニーズとインサイトの大きな違いは、「本人がそれを自覚できているかどうか」という点です。先ほどの例でいえば、消費者に「なぜ低カロリー食品を手に取ったのか?」と質問すれば、「太りたくないから」(顕在ニーズ)と回答する人が多いでしょう。もう少し購買動機を深掘りすれば、「実は人から『やせたね』と褒められたい」「運動したくないけれど、食事も減らしたくない」などの潜在ニーズが、本人の口から出てくる可能性も高いです。

しかし、インサイトは本人さえまだ自覚していない動機のため、本人から聞き出すのは困難です。インサイトは、企業側が消費者の購買行動や生活を入念に調査し、分析したうえでようやく発見できるものと言えるでしょう。

(3)インサイトの例とは?

消費者のインサイトを発見し、商品開発に生かした例として、ある食品メーカーのエピソードがあります。

同食品メーカーのカップ麺は、シニア世代の売り上げが低迷しているという課題を抱えていました。同社は、「シニア世代は健康志向だから、カップ麺には手を出さないのだろう」と考えていました。しかし、同社がシニア世代のSNSを分析したところ、豪華で高カロリーな食事の数々が投稿されていたのです。そこで同社は、「健康を気にするシニア世代でも、味さえおいしければカップ麺を好んで食べる」というインサイトの仮説を発見します。

その後同社は、あえてレアな食材を使用した、高級感あふれるカップ麺シリーズを発売しました。新商品は高価格帯であるにもかかわらず、シニア世代から爆発的な人気を博し、大ヒットを記録したのです。このようにインサイトを商品・サービスに生かすことで、消費者の隠れた欲求・動機が刺激され、新たな購買行動が生まれることもあります。

マーケティングでなぜインサイトは重要なのか?

なぜ近年マーケティング領域において、インサイトの重要性が叫ばれているのでしょうか。
ここでは、マーケティングでインサイトの調査・分析が必要な理由について解説します。

(1)市場が飽和しているから

現在は多くの市場が飽和状態になっており、「モノが売れない時代」ともいわれています。企業としては、競合他社と差別化できるような商品・サービスを生み出し、独自のポジショニングを築かなければいけません。しかし、すでに顕在化しているニーズを生かして商品・サービスを生み出しても、別の会社が同じような商品・サービスを開発する可能性が高いです。だからこそ、企業はまだ消費者本人も自覚していない「インサイト」を発見し、商品・サービス開発を進めようとしています。新たに発見されたインサイトであれば、唯一無二の商品・サービスが生まれやすく、シェア拡大も期待できるでしょう。

(2)広告展開しやすくなるから

インサイトを生かして商品・サービスを開発すれば、その後の広告キャンペーンも展開しやすくなります。例えば、「郊外で狭小住宅が増えているため、車は極力小さい方がいい」という消費者のインサイトがあったとしましょう。その際は、広告においても「小さいこと」の便利さを訴求することで、ターゲットの購買動機を刺激できます。このようにインサイトが明確であれば、商品・サービスを開発してから売るまでの仕組みづくりがスムーズになるのです。

インサイトを調査・分析する際の注意点とは?

実際に顧客や消費者のインサイトを見つけるために、意識すべきことはあるのでしょうか。
ここでは、インサイトを調査・分析する際の注意点について解説します。

(1)聞き出すものではなく「つくる」もの

繰り返しにはなりますが、インサイトは消費者本人さえ自覚していない購買動機です。そのため、たとえアンケートやインタビューを行っても、明確な答えが得られるものではありません。あくまで企業が消費者の生活を調査し、たくさんの意見をヒアリングするなかで、確からしい「仮説」を組み上げるしかないのです。インサイトを調査・分析する際には、聞き出すというよりも、「つくる」という姿勢の方が成果につながりやすいでしょう。

(2)ひとつの調査だけで導き出せるものではない

インサイトは消費者が自覚していないため、話を聞いてもインサイトのきっかけすらつかめないこともあります。そのため、たった1回のインタビュー・アンケート調査だけで仮説を組み立てるのは、非常にリスクが高いです。できるだけさまざまな調査方法を組み合わせて、十分なデータを集めたうえでインサイトを導き出すことが賢明でしょう。また、ひとりのマーケティング担当者によって発見されたインサイトの仮説が、必ずしも正しいとは限りません。だからこそ、複数人で意見を交わして、仮説の確かさを入念に検証する姿勢も欠かせないでしょう。

マーケティングでインサイトを調査する方法とは?

マーケティングにおいて顧客や消費者のインサイトを発見するには、どのような方法があるのでしょうか。
ここでは、マーケティングでインサイトを調査する際の代表的な5つの手法について解説します。

(1)アンケート調査

アンケート調査とは、対象者にWeb上や郵送で設問に回答してもらい、消費者インサイトを探る方法です。特にWebアンケート調査は地理的な制約に関係なく実施できるため、多くのモニター(回答者)を集められ、大量の回答データを収集できます。アンケート調査では、「商品・サービスを使用しての満足度」や「普段の生活で不満に思っている点」などについて回答を集め、そこから消費者の心理的な傾向や隠れた購買動機を探ることが可能です。

(2)フォーカスグループインタビュー(FGI)

フォーカスグループインタビュー(FGI)とは、6人程度のモニターを一室に集め、座談会形式で意見交換を行ってもらう調査方法です。一度に複数の消費者から、効率良く意見を聞くことができるのが特徴と言えます。また、フォーカスグループインタビューでは、その場で企業側から質問を投げかけ、消費者のリアルな声を拾うことが可能です。そのため、インサイトにつながるような幅広い意見を集めやすいのがメリットと言えるでしょう。

(3)デプスインタビュー

デプスインタビューとは、対象者と1対1で実施するインタビュー調査のことです。「Depth(深さ)」という名前のとおり、ひとりの消費者からじっくり話を聞き、生活上の悩みや商品・サービスへの要望などを深掘りできるのが特徴と言えます。フォーカスグループインタビューでは聞き出せないような、深層心理にある購買動機まで聞き出せる可能性も高いでしょう。ただし、実施回数が限られるため、その他の調査方法と組み合わせることが大切です。

(4)エスノグラフィー(行動観察調査)

エスノグラフィー(行動観察調査)とは、調査員が消費者の生活や行動に密着し、隠れた購買動機を発見する調査のことです。例えば、調査員が対象者の家庭で一定期間過ごし、生活のなかにある不満や要望を見つけ出すという方法があります。また、店頭で来店者の行動を観察し、商品・サービス選びの際に潜む心理を探るのもエスノグラフィーのひとつです。行動を観察することで、言葉には表れない深層心理を探り、インサイトの発見につなげられます。

(5)ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングとは、SNS上の投稿を収集・分析して、商品・サービス開発や危機管理に生かす手法のことです。インタビューやアンケートでは、対象者が身構えて回答するため、本音を得られないこともあります。一方、ソーシャルリスニングであれば、SNS上にすでに存在する投稿を企業側が拾うので、リアルな意見を集めやすいのが特徴です。何気ない投稿から商品・サービスの使用シーンや生活上の不満を読み解き、インサイトの分析に役立てられます。

まとめ

インサイトはイノベーションのきっかけを秘めている一方で、調査や分析が難しいという側面もあります。そのため、専門企業の力も借りながら、緻密に分析を進める姿勢が大切です。また、インサイトは商品・サービス開発やブランディングに生かしてはじめて成果につながります。そのため、インサイトの調査方法だけでなく、その後の生かし方も含めて検討しておく姿勢が肝心です。

当社では、創業100年以上にわたって印刷ビジネスで培ったマーケティングのノウハウを生かし、さまざまな企業のブランドマーケティングを支援しています。消費者インサイトの発見からブランドメッセージの考案、各種広告の企画・運用まで一貫してサポートが可能です。マーケティングについて課題を感じた際には、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。