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ブランドブックとは?インナーブランディングに欠かせないブランドブック活用のポイント

ブランドブックとは?インナーブランディングに欠かせないブランドブック活用のポイント

社内に向けたブランディング、インナーブランディングが注目を集めています。インナーブランディングを実践するにはいくつかのポイントがありますが、そのなかでも欠かせないのがブランドブックです。自社のブランド理解を深めるうえで重要なブランドブック、具体的にはどうやって作成し、活用していけばよいのでしょうか。今回はそもそもブランドブックがどういったものなのか、ブランドブックの作成に必要な構成要素、社員に浸透させるためのポイントについてお伝えします。

インナーブランディングの全体像は「インナーブランディングとは?実践の重要性とメリット、成果を上げるためのポイントを解説」をあわせてご一読ください。

ブランドブックとは?

ブランドブックとは、企業が社員に対して企業ブランドの価値、ミッション、目指すべきゴールなどの浸透を目的に作成するものです。広義では、取引先や消費者、自社へ就職を希望する学生に配布する目的で作成する場合もありますが。ここでは、社員向けに作成するものをブランドブックとして説明します。

ブランドブックが必要とされる理由

ブランドブックが必要とされる主な理由として挙げられるのは次の2点です。

1)社員一人ひとりの行動規範の一つとなる

そもそもブランドブックは、スカンジナビア航空が80年代に経営が危機状態になった際に作成した「レッドブック」に端を発するといわれています。消費者は社員の不安をすぐに見抜き、それがまた客離れにつながり、経営はさらに悪化します。これを避けるには、社員一人ひとりの企業理念に基づいた行動が重要であるとして作成されたそうです。それ以降、いかなるときでも企業理念を理解したうえでの行動が結果として企業の成長につながるとして、多くの企業でブランドブックが作成されるようになっています。

2)製品開発や販売促進時の一貫性を生み出す

新商品を開発する際、重要なポイントはいくつかありますが、なかでもブランドの一貫性は欠かせない要素のひとつです。しかし、自社のブランド理念をしっかりと理解していないと一貫性が保てず、製品開発のコンセプトが毎回ぶれてしまうでしょう。

また、でき上がった製品を販売する際も同様です。販促手法が企業理念を損なっていたり、社員によって販促手法が異なっていたりするようでは取引先や消費者に信頼されません。

ブランドブックは常に携帯することで、日々の業務のなかでも一貫性が生まれやすくなり大きな効果を発揮します。

ブランドブックを構成する一般的な要素

ブランドブックには必ずこれを掲載しないとならないといった決まりはありません。企業によって必要と考えられるものを掲載すればよいのですが、最低限必要な要素もあります。ここでは、ブランドブックを構成する一般的な要素を見ていきましょう。

1)ミッション

企業が事業を行う目的、果たすべき使命を示します。企業が最終的に何を果たしたいのかを明確にしたものがミッションです。ブランドブックを作成する際に最初に定義します。なお、ミッションは常に一定で、変わることはありません。

2)ビジョン

企業として事業を行っていくうえで、将来的に成し遂げたい、目指したいと考える像を示すものです。

基本的にビジョンはミッションを実現させるために何をすべきかを示すもので、そのときそのときで最適な方法を選択していく必要があります。そのため、ミッションとは異なり、時代背景や企業が置かれる状況によっては変化する場合もあり、常に一定しているとは限りません。

3)バリュー

事業を行っていくうえで社員が取引先や消費者に対し、どういった価値の提供が行えるかを示すものです。自社が提供できる価値をもとにして、製品開発や販売促進を行っていきます。また、それがビジョンの達成、ミッションの実現にもつながっていくため、この3つは常につながっているものです。

4)ブランドコンセプト

自社のブランドのコンセプトとはどういったものなのか、その考え方を示すものです。また、自社のブランドの世界観を表すものでもあり、ミッション同様、基本的には常に一定で普遍的なものになります。

5)ブランドパーパス

直訳すると、「ブランドの目的」となるブランドパーパス。具体的には、「どういったブランドになりたいか」「ブランドを通して社会にどういった貢献をしていきたいのか」などの考え方を示すものです。ブランドコンセプトで定義したブランドの世界観を、どう社会貢献に生かしていくかを伝えます。

6)企業のシンボルマークやロゴの意味

企業のシンボルマークやロゴにはどういった意味があり、どういった思いが込められているのかを示すものです。シンボルマークやロゴは企業のミッションやメッセージを視覚化したものが多くなっています。そのため、「なぜこのデザインなのか」「なぜこういったカラーを使っているのか」などのの意味を理解・浸透させるものです。

ブランドブックを社員に浸透させるためのポイント

ブランドブックは、社員に対し内容を理解し把握してもらうことが最大の目的です。そのため、ただ作成するだけでは目的を果たせません。そこで、ブランドブックを社員に浸透させるためには何をすればよいのか、そのポイントを紹介します。

あわせて「ブランドブックの作り方とは?活用されやすい冊子にするポイントも解説!」の記事もご一読ください。

1)誰が読んでも分かりやすくシンプルなものにする

ブランドブックは基本的に社内でのみ配布するものです。そのため、必要以上に華美なデザインや装飾を施す必要はありません。また、新入社員から経営層までの誰が読んでも分かりやすく、シンプルなものでないと全社にわたって企業のミッションを浸透させられないでしょう。そのため、無駄に難しい言葉を使ったりせず、伝えることを最重要ポイントとして作成しなければなりません。

2)定期的な見直し・修正を行う

ブランドブックを構成する要素でも説明したように、ビジョンやシンボルマーク・ロゴは時代背景や企業の状況によって変化していく場合があります。そのため、一旦作成したらそれで終わりではなく、定期的に見直しを行い、変わった部分に関しては修正を行わなければなりません。すでに変わってしまったビジョンをそのまま掲載しているようでは、ブランドブックとしての要件を満たせず、社員への浸透も果たせないでしょう。

3)配布して終了としない

定期的な見直し・修正も重要ですが、それ以上に重要なポイントは、作成して配布したらそれで終了としないことです。どんなにシンプルで分かりやすいブランドブックを作成したとしても、その重要性を社員が理解していなければ手に取って読もうとは思わないでしょう。

そこで、配布するだけではなく、定期的にワークショップや勉強会を開催し、ブランドブックの重要性や内容の理解を進めていく必要があります。ブランドブックの重要性を理解してもらって初めて、手に取ってもらえるようになると考えなければ、目的は果たせないでしょう。

ブランドブックの目的は作成ではなく、読んで理解し、業務に生かしてもらうようにすること

ブランドブックはインナーブランディングに欠かせない要素のひとつです。しかし、作成することが目的となってしまい、その先にある社員の理解・社員への浸透が忘れられてしまっているケースも少なくありません。社員の理解と社員への浸透といった本来の目的を意識しないと、形だけの誰も読まない無駄なものとなってしまうでしょう。

ワークショップや勉強会を開催するのもそのためで、常に誰に何を伝えたいのかを意識しての作成が必要です。現在、ブランドブックの作成を検討しているのであれば、いかに社員が理解し、業務に生かしていけるのかを常に意識することをおすすめします。また、企画や制作を外部に依頼するのもひとつの方法です。

当社では、ブランドブックや社内報、ワークショップや社内研修の企画・制作を通じて、社内コミュニケーションの活性化をご支援しています。ブランドブックの作成をご検討の際には、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。