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採用ブランディングとは?優秀な人材の採用を実現するための手順とポイント

採用ブランディングとは?優秀な人材の採用を実現するための手順とポイント

少子高齢化が進む日本。今後、これまで以上のスピードで生産年齢人口(1565歳)の減少が予測されています。現状でも多くの業種で人材不足が慢性化しつつありますが、将来的にはほとんどの企業にとって人材不足が喫緊の課題となるのは間違いありません。そこで重要となるのが、いかに競合他社と差別化を図り、採用活動を有利に進めていけるかです。今回は優秀な人材採用に大きく貢献する採用ブランディングについて、メリットや運用の手順、成功を収めるためのポイントをお伝えします。

採用ブランディングとは?

採用ブランディングとは、採用活動を有利に進めていくために、自社の理念やビジョン、イメージ、自社で働くことのメリットや魅力などを広く外部へ発信していくことです。企業理念やビジョンを外部へ発信するという意味では、企業ブランディングと同じと思われるかもしれません。

企業ブランディングと採用ブランディングとの違いは、消費者やステークホルダーに発信するのではなく、将来的に自社に入社する可能性のある人材に特化して発信する点です。認知度を上げ魅力を伝えることで、自社で働きたいと考える人材をひとりでも多く増やすのが採用ブランディングの最大の目的であり、ゴールとなります。

企業ブランディングについては「BtoBブランディングの重要性と効果的な手法と戦略を解説」をご一読ください。

採用ブランディングを実施するメリット

採用ブランディングの実施により、企業は具体的にどのようなメリットを得られるのでしょう。ここではそのなかでも主なものを紹介します。

▶︎自社の立ち位置が明確になる

採用ブランディングを行うためには自社の理念やビジョン、文化などをあらためて鑑みることになるため、自社の立ち位置が明確になります。採用ブランディングでは、消費者に対して何を提供している企業なのかだけではなく、何のために事業を行っているのかを明確にしなければなりません。その結果、競合他社のなかでの自社がどのようなポジションで事業を行っていくべきかにあらためて気づくことができ、それがインナーブランディングにもつながります。

インナーブランディングについて詳しく知りたい方は、「インナーブランディングとは?実践の重要性とメリット、成果を上げるためのポイントを解説」を参照してください。

▶︎就職活動の際、選択肢のひとつに入れてもらえる

例えば、金融機関で働きたいと思っている求職者はインターネットや説明会、また、学生であればそれに加えて学校の資料などを参考に選択肢を絞っていきます。そしてほとんどの場合、その時点で自分が知っている金融機関を中心に調べていきます。

もちろん自社が誰でも知っているような大企業であれば、多くの求職者の選択肢に入るかもしれません。しかし認知度の高くない中小企業の場合、選択肢に入れてもらうことから始める必要があります。そこで採用ブランディングをしっかりと行っていれば、求職者に認知を得られ、選択肢に入れてもらえる可能性が高まるのです。

▶︎採用のミスマッチを避けられる

あまり多くの情報を発信していない、もしくはうまく伝えられていない状態で採用活動を進めると、求職者側では思った会社と違った、企業側では自社が求める人材ではなかった、というミスマッチが起こりがちです。

しかし採用ブランディングができていれば、自社の理念やビジョン、文化などを理解した求職者が多く集まるため、ミスマッチが起こる可能性を下げられます。その結果、採用活動の手間やコスト軽減にも効果を発揮するでしょう。

▶︎優秀な人材採用の期待が高まる

採用ブランディングにより自社の認知度が向上すれば、求職者の増加が期待できます。ポイントは、単純に求職者が増加するのではなく、採用ブランディングにより自社の理念を理解し、自社で働きたいと積極的に考える求職者が増加する点です。そうした求職者が集まった結果、優秀な人材の採用が実現する期待も高まります。

▶︎新規採用者の離職率の低減につながる

採用ブランディングのメリットは採用活動だけではなく、採用後にも大きく影響を及ぼします。そのひとつが、新規採用者の離職率低下にも貢献できる点です。

採用ブランディングでは、実際に自社で働く社員の声や職場環境、イメージまでも正直に伝えていきます。その結果、採用時だけではなく入社後のミスマッチも避けられるようになり、離職率の低減につながるでしょう。

多くの企業にとって人材不足の慢性化とともに悩みの種となっているのは、離職率の高さです。厚生労働省が202010月に発表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、20173月に卒業した学生では、大学生で「32.8%」、短大などで「43.0%」、高校生で「39.5%」が就職後3年以内に離職しています。

離職率が高ければ、それだけ採用にも入社後の教育にもコストが余分にかかってしまうでしょう。採用ブランディングができていれば、入社後のミスマッチも減らせる可能性が高く、離職率低減に貢献できるため、さらなるコスト軽減というメリットが生まれます。

採用ブランディング運用の流れ

実際に採用ブランディングを運用していくためにはどのような手順で進めていけばよいのか、その流れを説明します。

▶︎自社が求める人材を明確にする

「自社がどのような人材を求めているのか」を明確にします。単純に「成績優秀」「即戦力」といった漠然とした採用基準だけではなく、「どのような人材と一緒に働きたいのか」をより詳細に詰めていきましょう。ターゲットを明確にできないと、採用ブランディングはうまく進めていけません。

▶︎自社の現状を明確にし、言語化する

次に手をつけるべきは、自社の現状の明確化、言語化です。人事部だけで行うのではなく、全部署でアンケートやインタビューを実行します。社員アンケートの手順については「なぜ社員アンケートが必要なのか?企業経営に生かせるアンケートの手順とポイント」もあわせてご覧ください。売り上げや実績といった数字以外にも、理念やビジョン・文化・事業を行う目的・現場の環境や雰囲気などすべてを言語化し、自社の今を伝えられるようにしましょう。

▶︎採用ブランディングのアウトプット設計を行う

言語化された自社の現状をひとつのコンセプトにまとめたら、アウトプット設計を行っていきます。「どのメディアを使うのか」「どのような方法でアピールしていくのか」「採用活動初期から内定までどのような流れで行うのか」など予算を見ながら具体的に進めていきましょう。

▶︎クリエイティブの制作・実施

アウトプット設計ができたら、実際にメディアごとに適切なクリエイティブを制作し、ブランディングを実施します。広報部やマーケティング部が中心になって行っていきますが、自社だけで進めていくのが困難な場合は、外部に依頼するのもひとつの方法です。

採用ブランディングを成功させるポイント

採用ブランディングを成功させるにはいくつかのポイントがあります。そのなかでも重要なのは、次の2点です。

  1. 自社の現状把握を徹底的に行う

自社の現状を正確に把握して言語化しないと、求職者とのミスマッチが起こる可能性が高まってしまいます。これでは採用ブランディングの意味がありません。そのためには新入社員や中途入社の社員を中心にインタビューを行い、入社時に感じた魅力や入社後に感じた良い面と悪い面など、できるだけ客観的な意見を収集します。そのうえで全体を俯瞰しながらコンセプトをまとめていきましょう。

  1. 長期的な視点で進めて行く

採用ブランディングは、今から始めてもすぐに結果が出るものではありません。試行錯誤を重ね、PDCAを回しながら改善を行っていった先に少しずつ成果が出るものです。そのため早急に結果を求めず、3年、5年といった長期的な視点でブランディングを進めていく必要があるでしょう。

人材不足解消には採用ブランディングの実施が必須

少子高齢化により、すでに人材不足が慢性化している企業も少なくありません。そうしたなかで少しでも現状を改善し、優秀な人材を多く確保するためには、採用ブランディングが欠かせません。

ブランディングというと大企業が行うものといったイメージがあるかもしれませんが、中小企業でも高い効果が期待できる施策です。これまで採用活動で、多くの手間とコストをかけながらも成果が上がらないといった際は、採用ブランディングの実施を検討されることをおすすめします。