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採用におけるペルソナとは?設計の流れや新卒・中途の具体例を分かりやすく解説!

採用におけるペルソナとは?設計の流れや新卒・中途の具体例を分かりやすく解説!

近年は若手人材の早期離職が問題になっており、採用活動に難しさを感じている企業も多いかもしれません。その際、非常に重要なのが「ペルソナ」の設定です。採用で狙うべき人材像をペルソナによって明確に定めていれば、書類選考・面接での判断基準も明らかになるため、入社後のミスマッチも防止しやすくなるでしょう。

そこで本稿では、「採用におけるペルソナの意味」や「ペルソナの設計方法」を分かりやすく解説します。また、新卒採用・中途採用に分けてペルソナの例も紹介しますので、ぜひ実際の採用活動にて参考にしてみてください。

そもそも採用におけるペルソナとは?

そもそも採用における「ペルソナ」とは、どのような意味なのでしょうか。
ここでは、似た言葉である「ターゲット」との違いも含めて、定義を紹介します。

(1)ペルソナの意味

ペルソナとは、もともとマーケティング領域の言葉で、自社にとって理想の顧客像のことをいいます。それが人材領域でも使われるようになり、「採用ペルソナ」と呼ばれるようになりました。採用におけるペルソナは、自社が採用すべき理想の人材像のことです。具体的には、年齢や性別、居住地、経験職種、役職の有無、家族構成、キャリア上の悩みをはじめ、実在するであろうひとりの人物像が浮かび上がるまでパーソナリティを細かく設定します。こうしたペルソナは、面接での選考基準や求人広告のメッセージを考える際に活用するのが一般的です。

(2)ターゲットとの違いとは?

ペルソナと似た言葉に「ターゲット」があります。採用におけるターゲットとは、ペルソナと同様「自社が採用すべき人材像」のことです。しかし、設定の細かさに大きな違いがあります。ターゲットの場合は、「20代後半・男性・営業経験3年」のように大まかなスペックで絞り込むことが一般的です。一方のペルソナは、所帯の有無や現在の年収、希望するキャリアプランに至るまで細かく設定を作り上げます。採用において関係者間の認識のズレをなくしたい場合には、ターゲットではなくペルソナを設定しておく方がスムーズと言えるでしょう。

採用においてペルソナを設定する目的とは?

そもそも採用においてペルソナを設定するのは、なぜなのでしょうか。
ここでは、採用活動でペルソナを設定する目的について解説します。

(1)入社後のミスマッチを減らすため

採用で狙うべき人材像が明確になっていないと、経験職種や学歴だけで人材を判断してしまい、自社の風土に合わない人材を採用してしまう可能性があります。その結果、入社後のミスマッチが生じ、早期離職にもつながりかねません。その点、ペルソナを細かく設定しておけば、「自社にとって必要な人材像」が明らかになります。結果的に入社後の活躍につながるような人材を採用でき、採用コストの削減や業績の向上が期待できるでしょう。

(2)選考をよりスムーズに行うため

採用すべき人材像が明らかになっていない場合、選考基準が属人的になるため、面接官が選考を進める際の基準が人によってバラバラになってしまうこともあります。その点ペルソナを設定しておけば、書類選考や面接の基準が明確になるため、選考をよりスムーズに進められるでしょう。また、求人広告を掲載する際にも、「誰に向けてどんなメッセージを発信すればよいか」が明確になります。結果として最適な求人広告を掲載でき、応募数の増加を図ることも可能です。

採用においてペルソナを設定する方法とは?

採用においてペルソナを設定する際には、具体的にどのような流れで行えばよいのでしょうか。
ここでは、採用活動でペルソナを設定する際の方法を、5つのステップで解説します。

(1)採用活動の目的を明らかにする

ペルソナの設定は、採用活動の目的を明確にすることから始めましょう。たとえ同じ中途採用でも、「退職者のポジションを補充したい場合」と「新規事業の責任者を任せたい場合」では、狙うべき人材像も大きく異なります。そのため、まずは採用で成し遂げたいゴールを設定し、そこから逆算してペルソナを考えることが大切です。

(2)「必要な人材像」を現場や経営層から聞き出す

採用したい人材像は、人事が独断で決めるわけにはいきません。そのため、経営層や現場の管理職にも意見をヒアリングし、どのような人材に入社してほしいかを調査しましょう。その際、スキルや経験だけでなく、社風との相性や志向性、仕事に対する価値観、キャリアにおける希望などまで細かく条件を洗い出すことが重要です。

(3)MUST・WANTで優先順位をつける

理想の人材像について要件を数多く列挙したあとは、逆に「絞っていく作業」に取り組みます。具体的には、絶対に満たしてほしい要件を「MUST」、あればなお良い要件を「WANT」として並べていくとスムーズです。その際、自社で活躍している社員の行動パターンや志向性と照らし合わせると、MUST要件を決めやすくなります。

(4)採用の可能性について検討する

一度ペルソナを仮設定したら、採用の可能性も検討します。企業によっては理想の人材像を追求しすぎて、「転職市場にはそのような人材がいない」「自社の待遇では採用が難しい」という事態にも陥りがちです。そのため、有効求人倍率や転職市場の動向、過去の採用実績なども考慮し、現実的なペルソナになるよう調整しましょう。

(5)言語化し、社内に共有する

ペルソナを言語化して、採用に関わる全員に共有することも重要です。経営層や現場の管理職、面接官、人事がペルソナを頭に入れておくことで、同じ目線で選考に臨めるようになります。また、ペルソナを踏まえて求人広告のメッセージを調整したり、選考フローを最適化したりすることで、より高い採用効果につながるでしょう。

採用におけるペルソナの具体例とは?

採用におけるペルソナは、具体的にどのくらい細かく設定すればよいのでしょうか。
ここでは、新卒採用・中途採用に分けて、ペルソナの具体例を紹介します。

(1)新卒採用の場合

新卒採用の場合は、中途採用の人材のように職務経験がないため、スキルや職務上の実績などを設定できません。そのため、新卒採用では学生時代の経験やアルバイト歴、仕事選びの基準などを中心に考えるとよいでしょう。

<例/総合職>
◆性別:男性
◆学歴:四年制大学(文系)
◆居住地:愛知県内
◆サークル・部活動:バレーボール部(副部長)
◆アルバイト経験:コーヒーチェーン店でホールスタッフを担当
◆性格の特徴:協調性を重んじ、周囲の気持ちを察して行動できる。誰かの役に立つのが好き。
◆学生時代に注力したこと:アルバイトではお客様の立場に立ち、感じの良い接客を心がけた。顧客アンケートでお褒めの言葉を数多くもらい、本部から表彰を受けたこともある。
◆仕事選びで重視すること:自身のホスピタリティやコミュニケーション能力を生かせるような仕事に就きたい。
◆会社選びで重視すること:事業に社会性があること。社員同士のコミュニケーションが盛んな社風であること。

(2)中途採用の場合

中途採用の人材は、職歴をある程度重ね、スキルも習得しています。また、キャリア上の目標を持っている人も多いでしょう。そのため、前職での経験や実績、今後の働き方の希望などを中心に設定するのがポイントです。

<例/Webデザイナー>
◆性別:女性(既婚・子どもなし)
◆年齢:27歳
◆居住地:東京都内
◆学歴:四年制大学(文系)
◆年収:350万円
◆職歴:新卒入社で広告代理店に入社し、広告営業を2年経験。クリエイティブに従事したかったため、デザインを独学で習得して広告制作会社に転職。Webデザイナーとして3年の経験を積み、現在転職を検討中。
◆保有スキル:Illustrator・Photoshopを使ったデザインスキル、HTML・CSSを使ったコーディングスキル
◆仕事のこだわり:UIを意識してターゲットにとって使いやすく、親しみやすいデザインを心がけている。
◆現職での悩み:人手不足で長時間の残業が常態化しており、家庭との両立が難しいと感じている。
◆キャリアビジョン:私生活とうまく両立させながら、生涯デザインの仕事を続けていきたい。
◆仕事選びで重視すること:勤務時間の柔軟性があり、プライベートとの両立が可能であること。
◆会社選びで重視すること:産休・育休の取得実績があること。家庭を持つ女性社員が活躍していること。

採用においてペルソナを設定するポイントとは?

採用においてペルソナを設定する際には、どのような点に気をつければよいのでしょうか。
ここでは、採用においてペルソナを設定するポイントについて解説します。

(1)複数のペルソナを用意しておく

ペルソナをひとつに絞ると、「ペルソナに当てはまらない」という理由で優秀な人材を見逃してしまうリスクがあります。そのため、ペルソナは新卒入社・中途採用ともに2~3パターン設計しておくことが大切です。特に新卒入社は総合職で採用するケースも多いため、複数の人材像を想定しておくと多様性も生まれやすいでしょう。

(2)自社の状況に合わせて柔軟に見直す

時代の変化や自社の経営方針に応じて、採用すべき理想の人材も変わってくるものです。そのため、ペルソナは一度設定して終わりではなく、採用のタイミングで細かく見直すことも重要でしょう。特に近年は人手不足の影響で売り手市場の業界も多いため、「狙うべき人材像」を見定めることで応募数の確保につなげやすくなります。

(3)採用広報で積極的に生かす

ペルソナを設定したあとは、それを採用広報に生かすことも大切です。例えば、狙いたい人材像に向けて採用ピッチ資料を配布したり、採用Webサイトの記事を制作したりという施策が挙げられます。対象の人材にとって魅力的な情報を厳選し、積極的に発信していくことで、応募数の増加や入社後の定着も図りやすくなるでしょう。

※採用広報について詳しく知りたい方は、「採用広報とは?今取り組むべき理由や具体的な手法、成功のポイントを解説!」の記事も合わせてお読みください。

まとめ

採用におけるペルソナ設定は、入社後のミスマッチを軽減させる重要な取り組みのひとつです。ぜひ自社の経営戦略や人員計画と照らし合わせながら、設定してみることをおすすめします。

また、採用ペルソナを設定したあとには、狙いたい人材像に沿って積極的に採用広報を展開する姿勢も欠かせません。その際、外部の専門家へ依頼し、採用広報やブランディングのノウハウを補うことも有効な戦略です。ノウハウの豊富なパートナー企業を活用することで、より効果的な採用広報を実施でき、最適な人材の獲得にもつなげやすくなるでしょう。

当社は、創業から100年以上にわたって印刷ビジネスで培ったマーケティングやブランディングのノウハウを生かし、さまざまな企業の「ブランドマーケティング」を支援しています。社内報やブランドブック、各種広告といった採用広報も、企画から運用まで幅広く支援することが可能です。採用広報をお考えの際には、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。