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今さら聞けない「従業員エンゲージメント」とは?注目の背景・高める方法を解説!

今さら聞けない「従業員エンゲージメント」とは?注目の背景・高める方法を解説!

従業員エンゲージメントとは、従業員の企業に対する愛着や思い入れを意味します。最近ではテレワークによるコミュニケーション不足から、社内のエンゲージメント低下に悩む企業も少なくありません。そこで今回は、「従業員エンゲージメントの意味」や「従業員エンゲージメントを高めるメリット」などについて分かりやすく解説します。また「従業員エンゲージメントを高める方法」も詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

※従業員エンゲージメントの低下の原因や解決策に関して、以下のお役立ち資料で解説しております。無料でダウンロード可能ですので、あわせてご覧ください。

お役立ち資料:社員のエンゲージメントが低いのは、「社内コミュニケーション不足」が原因?~ 今こそ取り組むべきインナーブランディングの必須施策~

そもそも「従業員エンゲージメント」とは?

そもそも従業員エンゲージメントとは、どのような意味なのでしょうか。
ここでは、「従業員満足度」や「ロイヤルティ」などの似ている言葉との違いを踏まえて、意味を解説します。

1)「従業員エンゲージメント」の意味とは?

従業員エンゲージメントとは、従業員が自社に対して抱いている愛着や思い入れ、愛社精神などのことを言います。もともとエンゲージメント(engagement)とは、「約束」や「契約」を意味し、相互の結び付きを表す言葉です。つまり、エンゲージメントの高い企業は、従業員との結束力が非常に強い状態と言えるでしょう。ちなみに従業員エンゲージメントが高まることで、「自社のために力を発揮したい」「組織目標の達成に貢献したい」という従業員が増えるため、組織全体のパフォーマンスアップや業績向上につながりやすいという特徴があります。

2)似ている言葉1「従業員満足度(ES)」との違いとは?

従業員満足度(ESEmployee Satisfaction)とは、従業員が自社の報酬や福利厚生、職場環境などに対して抱く満足感のことです。例えば、「給与が高い」「休日が多い」「人間関係が良好である」などの要素では、従業員満足度の向上が期待できます。ただ、従業員満足度が高くても、必ずしも企業への愛着や貢献意欲にはつながりません。そのため、従業員満足度は従業員エンゲージメントと比べて、業績に直結しにくいという特徴があります。

3)似ている言葉2「ロイヤルティ」との違いとは?

ロイヤルティ(loyalty)とは、従業員が企業に対して抱く忠誠心の意味として使われることが多いです。従業員の組織に対する貢献意欲が高いという点では、従業員エンゲージメントと変わりません。ただ、従業員エンゲージメントが企業と従業員の「双方向」の結び付きであるのに比べ、ロイヤルティは従業員から企業への「一方的」な忠誠心です。そのため、ロイヤルティは「奉社精神」、従業員エンゲージメントは「愛社精神」と呼ばれ、区別されることもあります。

従業員エンゲージメントが注目を集める理由とは?

今、なぜ従業員エンゲージメントが重要な指標として注目を集めているのでしょうか。
ここでは、時代背景を踏まえて大きく3つの理由について解説します。

1)人材の流動化が進んでいるため

近年は終身雇用の崩壊が叫ばれ、より安定した環境・満足できる職場を求めて人材の流動化が進んでいます。転職が当たり前になっている今、優秀な人材の流出防止に苦心する企業も少なくありません。今後は少子高齢化による人材難の加速が見込まれるなか、従業員の離職率を低減させることは企業にとって大きな課題です。だからこそ、優秀な人材を社内に引き留めるための取り組みとして、従業員エンゲージメントの向上に注目が集まっています。

2)人材の価値観が多様化しているため

最近では、フレックスタイム制や副業の許可などの制度も浸透し、仕事に対する価値観も多様化しています。例えば、「収入よりもワーク・ライフ・バランスが大切」「社会貢献度の高い仕事がしたい」「時間にとらわれず柔軟に働きたい」など、従業員によって考え方はさまざまです。そのため、企業から一方的にマネジメントするスタイルは通用しなくなりつつあります。そこで注目を集めているのが、従業員エンゲージメントです。従業員エンゲージメントを上げることで、企業の考え方を押し付けることなく、従業員一人ひとりの自発的なやる気を引き出せます。

3)テレワークが浸透してきているため

新型コロナウイルスの流行によって、テレワークの導入も進んでいます。ただ、テレワークでは上司と部下のコミュニケーションが減ったり、会社からのメッセージを従業員に伝えにくくなったりという弊害があるのも事実です。結果的に従業員の組織に対する帰属意識が薄れ、離職率の上昇につながるケースもあります。だからこそ、企業として従業員エンゲージメントの向上に取り組み、従業員との一体感を強める重要性が増しているのです。

従業員エンゲージメントを高めるメリットとは?

従業員エンゲージメントを向上させることで、企業にとってどのような効果があるのでしょうか。
ここでは、大きく4つのメリットを紹介します。

1)定着率の向上

少子高齢化で人手不足が進む今、優秀な人材をいかに定着させるかが課題となっています。ただ、給与の高さや休日の多さだけで引き留めようとしても、より待遇の充実した会社に転職されてしまう可能性もあるでしょう。その点、従業員エンゲージメントの高さは、その組織との結び付きの強さを意味します。「組織のためにもっと貢献したい」「この企業で長く働きたい」と考える従業員が増えることで、定着率の向上も期待できるでしょう。

2)チームワークの強化

従業員エンゲージメントを上げることで、組織全体の帰属意識が高まるため、全員が同じ方向を向いて働けるようになります。結果として、チームワークや結束力の強化が期待できるでしょう。また、全員が同じ価値観を共有できるようになるため、個々の意思決定がよりスムーズになり、時間やビジネスチャンスのロスも減らせます。

3)顧客満足度の向上

従業員エンゲージメントは、「組織のために貢献したい・力を発揮したい」という労働意欲にもつながります。つまり、従業員一人ひとりが自社の商品やサービスの質を上げるために、努力できるようになるということです。結果として、サービスを享受する側である顧客・ユーザーの満足度アップにもつながりやすくなるでしょう。

4)業績の向上

従業員エンゲージメントを高めることで、従業員のモチベーションも向上します。結果的に一人ひとりがより高いパフォーマンスを発揮しやすい状態になり、組織としての成果・業績にもつながりやすくなるでしょう。また、従業員がより能率的な働き方を選択できるようになり、企業全体の生産性や効率も上がることが期待できます。

従業員エンゲージメントが向上・低下する要因とは?

従業員エンゲージメントは、何が原因で向上・低下するのでしょうか。ここでは、アデコグループのアンケート調査(※)を参照し、従業員エンゲージメントが「向上する理由」「低下する理由」についてそれぞれ解説します。

参考友人に自分の会社への就職・転職を薦めたい、2割未満にとどまる:仕事に社会的意義を持てることがエンゲージメント向上には重要|アデコグループ

1)従業員エンゲージメントが向上する要因

アンケート調査によれば、「勤務先に誇り・愛着を持っている理由」として最も多かったのは、「仕事に社会的な意義を感じている」(47.4%)でした。2位の「雇用が安定している」(29.1%)、3位の「ワークライフのバランスと柔軟性がある」(26.1%)と比べても、1位の数字が圧倒的であることが分かります。つまり、従業員エンゲージメントを上げるためには、仕事へのやりがいや社会的な貢献度などを重視する必要があると言えるでしょう。

2)従業員エンゲージメントが下がる要因

逆に「自社への貢献意欲や職場への誇りが失われる理由」として最も多かったのは、「給与やポジションがあがらない」(41.7%)でした。ちなみに2位は「上司が適切に評価してくれない」(35.8%)、3位が「経営層に期待ができない」(35.3%)という結果になっています。総じて「頑張りに見合う評価・報酬が得られない」「会社の考え方や将来像に共感できない」というときに、従業員エンゲージメントが下がってしまう傾向にあるようです。

従業員エンゲージメントを高める“5つ”の方法とは?

従業員エンゲージメントを向上させるためには、どのような取り組みをすればよいのでしょうか。
ここでは、大きく5つの方法について解説します。

1)共感性の高いビジョンを発信する

経営者の考え方に共感できるかどうかは、従業員エンゲージメントに大きな影響を与えます。そのため、従業員から共感を得られるようなビジョン・経営理念・バリューを立案することが大切です。また、企業としてのビジョンを決めた際には、社内に浸透させるための取り組みも必要でしょう。例えば、冊子やWebページなどで情報を発信する「社内報」や、経営者と従業員がじかに意見交換できる「タウンホールミーティング」などを実施するのもひとつの方法です。企業の社会的な意義が明確になることで、従業員の貢献意欲も高めやすくなるでしょう。

社内報については「社内報とは?メリットや効果、企画のポイントを解説」で詳しく解説しています。

2)働きやすい職場環境をつくる

職場に対して不満が募っている状態では、従業員エンゲージメントも低下してしまいます。そのため、従業員に快適に働いてもらえるよう、職場環境を整えることも重要です。例えば、ワーク・ライフ・バランスを大事にできるようにノー残業デーを設定したり、育児との両立ができるように時短勤務制度を導入したりという取り組みが挙げられます。また、各自が自身のワークスタイルに合わせて柔軟に働けるフレックスタイム制も人気です。企業として従業員の健康を気遣う姿勢は、従業員エンゲージメントの向上にもつながりやすくなるでしょう。

3)成長の機会を提供する

従業員エンゲージメントを高めるために最も大切なのは、仕事にやりがいを感じられるような環境をつくることです。その点、多くの従業員に積極的に成長のチャンスを与えることも重要でしょう。例えば、若いうちから権限を委譲してリーダーを任せたり、背伸びして手が届くくらいのチャレンジングな目標(ストレッチ目標)を設定させたりという方法もあります。また、本人の適性を正しく理解し、適材適所な人材配置を行うのもポイントです。各自が自分の能力を発揮しやすい環境になれば、従業員エンゲージメントの向上も期待できるでしょう。

4)社内コミュニケーションを活性化させる

社内のつながりが希薄だと、従業員も会社に対する愛着を持てなくなってしまいます。そのため、コミュニケーションの機会を積極的に設け、従業員同士の親睦を深めることも大切です。例えば、上司と部下が定期的に面談を行う「1on1ミーティング」や、無作為に選ばれた従業員同士でランチに行く「シャッフルランチ」も有効な取り組みでしょう。交流の機会が増えることで、従業員がお互いに相談しやすく、協業しやすい雰囲気が生まれます。だからこそ、コミュニケーション活性化のために企業として金銭的・時間的な支援を行うことが重要です。

≪一緒に読みたい記事≫社内コミュニケーションの重要性とコミュニケーション活性化を実現させるポイント

5)納得度の高い人事制度にする

頑張りが正当に評価されない職場は、従業員エンゲージメントの低下につながる恐れがあります。そのため、従業員にとって納得度の高いような人事評価制度にすることも大切です。例えば、目に見える成果だけでなく、努力のプロセスや自己研さんの時間も評価されるような制度にするのもひとつの方法でしょう。また、従業員が希望に応じてキャリアを選べるような異動制度も、貢献意欲につながります。例えば、各部署で異動希望者を募る「社内公募制度」や、従業員自ら希望部署に自分を売り込める「社内FA制度」なども有効な取り組みです。

従業員エンゲージメントを測定する方法とは?

従業員エンゲージメントは数値として見えづらく、実際の取り組みが成果につながったのか分かりにくいケースもあります。それでは、従業員エンゲージメントはどのような方法で測定・可視化すればよいのでしょうか。ここでは、代表的な手法である「エンゲージメントサーベイ」の活用法と具体的な調査項目について解説します。

エンゲージメント調査について詳しくは、「エンゲージメント調査とは?具体的な質問項目や活用のポイントを解説!」をご一読ください。

1)「エンゲージメントサーベイ」の活用法

エンゲージメントサーベイとは、従業員エンゲージメントを可視化するための調査のことをいいます。「上司と部下の関係」「仕事のやりがい」「組織からの評価」などいくつかの設問が用意され、従業員に答えてもらう形式が一般的です。例えば、アメリカの大手調査会社ギャラップ社が提供する「Q12(キュー・トゥエルブ」や、アメリカの大手コンサルティング会社が展開する「eNPS」などがあります。こうしたエンゲージメントサーベイの結果を集計・分析することで、人事評価制度をブラッシュアップしたり、社内コミュニケーションの頻度を改善したりすることが可能です。

2)具体的な調査の項目とは?

エンゲージメントサーベイの項目は、アンケートの種類や企業の実態によって異なります。また、5段階評価やフリーコメント形式など、回答方式もさまざまです。従業員に回答を促しやすいよう、設問を絞って実施することも重要でしょう。ここでは、一例としてギャラップ社が提供する「Q12」(※)の調査項目を一部紹介します。

Q1:職場で自分がどんな期待をされているか理解している
Q4:直近7日間のうちに、自分の仕事を認められたり、褒められたりした
Q5:上司や職場の人たちが、自分をひとりの人間として気にかけてくれている
Q10:職場に親友がいる
Q12:直近1年で、仕事について学び、成長できるような機会があった

ちなみにエンゲージメントサーベイには、設問の固定されている「パッケージ型」と、自社で自由に設問・計算方法を決められる「オーダーメイド型」があります。自社の現状に合わせて最適な方式を選ぶことが大切です。

※参考:働く人の幸福度をはかるたった12の質問|PRESIDENT Online

まとめ

従業員エンゲージメントを高めるために必要なのは、普段から社内でのコミュニケーションを活発に行うことです。当社では、社内報やブランドブック、社内研修など多彩なインターナルコミュニケーション施策を通じて、社内コミュニケーションの活性化をご支援しています。従業員エンゲージメントを高めるための企画・実行・効果分析まで伴走が可能です。従業員エンゲージメントでお悩みの際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。