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インターナルマーケティングとは?実施の流れや具体的な施策を分かりやすく解説!

インターナルマーケティングとは?実施の流れや具体的な施策を分かりやすく解説!

売り上げを伸ばすための「マーケティング」は聞いたことがあっても、「インターナルマーケティング」は初めて知ったという方も多いかもしれません。実はリモートワークの浸透で従業員の帰属意識が低下しつつある今、インターナルマーケティング(従業員へのマーケティング)の重要性が増しているのです。そこで今回は、「インターナルマーケティングの意味」や「インターナルマーケティングの具体的な施策」を分かりやすく解説します。

インターナルマーケティングとは?

そもそもインターナルマーケティングとは、どのような意味なのでしょうか。
ここでは、インターナルマーケティングという言葉の定義や、注目されている背景について解説します。

(1)インターナルマーケティングの意味

インターナルマーケティングとは、従業員を「顧客」に見立て、一人ひとりの需要を満たしながら企業への満足度やロイヤリティー(愛着・忠誠心)を高める取り組みのことを言います。例えば、従業員にとって魅力的な職場環境や待遇、仕事内容を整え、従業員満足度を高めることもひとつの方法です。本来マーケティングとは、顧客のニーズを理解し、それを満たせるような価値を提供する活動を指します。インターナルマーケティングにおいても、従業員の必要とすること・欲していることを正しく把握したうえで、最適な施策を考えることが大切です。

(2)「サービス・プロフィット・チェーン」の考え方とは?

では、そもそもなぜマーケティングの考え方を社内に活用し、従業員の満足度を高める必要があるのでしょうか。これを説明する重要な概念として、「サービス・プロフィット・チェーン」があります。

サービス・プロフィット・チェーンとは、「従業員満足度が高まれば、顧客の満足度も高まり、企業の業績も高まる」という考え方のことです。というのも、まず従業員満足度が高まることで、従業員が生産性高く働けるようになり、サービスの質も向上します。サービスが良くなれば、顧客の満足度も高まるはずです。顧客からの評判が上がることで、企業は多くのリピーターを獲得し、業績が向上するでしょう。結果的に企業は業績を従業員に対して還元し、さらに従業員満足度の向上を図れるようになります。このように企業として良いサイクルを生み出すためには、まずインターナルマーケティングによって従業員満足度を高める取り組みが必要になるのです。

インターナルマーケティングの目的とは?

インターナルマーケティングは、具体的にどのような状態を目指して行われるのでしょうか。
ここでは、インターナルマーケティングの目的について大きく3つに分けて解説します。

(1)業績を向上させるため

インターナルマーケティングによって、業績の向上を図ることも重要な目的です。というのも、企業に対する愛着が高い従業員は、より高いパフォーマンスをしようと努力したり、自身のスキルを向上させようと自己研さんしたりします。結果として組織全体に目標達成に対する前向きな雰囲気が生まれ、業績の底上げを図れるのです。

(2)人材の定着率を高めるため

少子高齢化で人手不足が課題となっている今、人材の離職は企業にとって大きなダメージです。その点、インターナルマーケティングで従業員満足度が高まれば、当然ながら定着率も上がります。結果として、優秀な人材を社内に確保しやすくなるでしょう。また、人材を1人採用するには、求人広告の掲載費や選考にかかる人件費など、少なくないコストがかかります。定着率が改善されれば、こうした採用コストの削減を図ることも可能です。

(3)対外的なイメージを高めるため

インターナルマーケティングには、企業のブランディングとしての効果も期待できます。例えば、自社への愛着を持っている従業員は、自社のサービスに対しても意義や価値を感じている状態です。そのため、積極的に社外に推奨し、良さを広めようとするでしょう。その結果、サービスの認知度が高まったり、顧客からの評判が上がったりという好影響を生み出します。また、従業員満足度の高い職場は活気もあり、求職者からのイメージも良くなるものです。結果的に採用面でのブランディングにもつながり、優秀な人材の獲得もしやすくなるでしょう。

インターナルマーケティングの手順とは?

インターナルマーケティングとは、具体的にどのような流れで実施すればよいのでしょうか。
ここでは、インターナルマーケティングの手順を4つのプロセスに分けて解説します。

(1)目的を明確にする

インターナルマーケティングを始める際には、まず「何のために取り組むのか」を明らかにすることが大切です。例えば、「従業員満足度を高めることで、離職率の高さを改善したい」「従業員の働きやすい環境を整えることで、社内全体の生産性をより高めたい」などが挙げられます。「現状の課題」と「目指したい姿」を明確に決めてからインターナルマーケティングに取り組むことで、施策の方向性が定まり、より効果を挙げやすくなるでしょう。

(2)従業員のニーズを把握する

インターナルマーケティングは、ターゲットである従業員の「需要」を把握し、それに応えられるような価値を提供することが大前提の考え方です。そのため、従業員が「何を必要としているのか(ニーズ)」・「欲しているのか(ウォンツ)」を調べるようにしましょう。具体的には、従業員へのアンケート調査や1on1ミーティングを通じた個別ヒアリングなどが適しています。従業員から本音を聞き出せるよう、匿名性を高める工夫も重要です。

(3)必要な施策を検討する

ターゲットである従業員の需要が分かれば、それに沿って施策を考えます。例えば、「出産後も無理なく働けるかを若年層の女性従業員が心配しており、結果的に退職につながるケースが多い」という状況があるとしましょう。その際は、時短勤務制度や子ども手当の導入、女性を部下に持つ管理職に対する研修の実施などが施策として考えられます。ターゲット像を明確にしておくことで、反響の高い施策を企画することが可能です。

(4)効果を振り返り、改善する

施策は一度実行しただけでは、十分な効果が得られない場合もあります。そのため、施策の実行後は従業員へのアンケートで効果を測定したうえで、施策内容をブラッシュアップすることも重要です。従業員からの反響や需要の変化を普段から分析しておくことで、より柔軟にインターナルマーケティングの成果を改善できるでしょう。

インターナルマーケティングの主な施策とは?

インターナルマーケティングでは、具体的にどのような施策を行えばよいのでしょうか。大前提として、インターナルマーケティングは従業員の“需要ありき”です。そのため、従業員にとって必要性の高い施策を都度考えるようにしましょう。ここでは、さまざまな企業で取り入れられている施策について、紹介します。

(1)社内アンケートでニーズを把握する

従業員の要望を把握するためには、まずアンケート調査(社員アンケート・社内アンケート)を実施することも有効です。アンケートでは、経営理念への理解度や共感度合い、福利厚生への満足度、マネジメント上の課題などの項目が盛り込まれます。従業員から率直な意見をもらうことで、最適な施策を検討しやすくなるでしょう。

社員アンケートについて詳しく知りたい方は、ぜひ「なぜ社員アンケートが必要なのか?企業経営に生かせるアンケートの手順とポイント」の記事も合わせてお読みください。

(2)企業理念を浸透させる

従業員満足度の高い従業員は、自社の考え方や方向性に深く共感している状態です。そのため、インターナルマーケティングでは、従業員に企業理念の浸透を図る施策も有効でしょう。例えば、経営層と従業員が直接対話できる「タウンホールミーティング」、ブランドの価値観や方向性を一冊にまとめる「ブランドブック」などの施策が挙げられます。企業理念への共感度が高まるほど、従業員がより仕事に誇りを持てるようになるでしょう。

ブランドブックについて詳しく知りたい方は、ぜひ「ブランドブックとは?インナーブランディングに欠かせないブランドブック活用のポイント」の記事も合わせてお読みください。

(3)職場環境・労働条件を改善する

職場環境への不満は、従業員満足度を下げ、離職率を高める原因にもなりかねません。そのため、インターナルマーケティングではオフィス環境や待遇、労働条件などの見直しを進めることも重要です。例えば、日々の勤務時間を管理して長時間労働を是正したり、フレックスタイム制をはじめ柔軟性の高い勤務制度を取り入れたりする方法があります。快適に働ける環境が生まれることで、従業員の生産性やモチベーションも高まるでしょう。

(4)公正な人事制度を設ける

人事制度に対する不満も、従業員満足度に大きな影響を与えます。そのため、公正な人事制度を設けることで、従業員の納得感を高めることも重要です。例えば、成果だけではなくプロセスまで評価する人事評価制度にしたり、従業員が自分の意志で配属先の希望を出せる異動制度(社内FA制度や社内公募制度)を取り入れたりという方法があります。評価や配置に対する納得度が高まれば、従業員のモチベーションも大きく向上するでしょう。

(5)顧客からの声を共有する

従業員が自社のサービスや商品に自信を持てるようになれば、仕事への満足度も向上します。そのため、インターナルマーケティングでは、顧客からのポジティブな声を従業員へ共有することも有効な施策です。例えば、顧客からもらったアンケートの回答を、社内のイントラネットやメールで共有するという方法が挙げられます。「自社のサービスが対外的に高い評価を得られている」と分かれば、従業員の自社への愛着も自然と高まるでしょう。

(6)社内報で企業文化を広める

自社への深い理解や共感が、従業員の満足度を高めます。そのため、社内報で従業員に自社の現状を広報することも、有効なインターナルマーケティングになるでしょう。例えば、社内報で業績や経営方針、シンボリックな活躍をした従業員のことなどを共有することで、従業員は「自社で今何が起きているのか」を常時把握できるようになります。結果として自社の企業文化に対する理解が深まり、社内全体の士気向上にもつながるでしょう。

社内報について詳しく知りたい方は、ぜひ「社内報とは?メリットや効果、企画のポイントを解説」も合わせてお読みください。

まとめ

インターナルマーケティングでは、従業員のニーズを正しく把握し、それに沿った施策を導入することが大切です。従業員の声をより敏感に知るためには、日ごろから上層部と従業員、そして従業員同士のコミュニケーションを活性化させておく取り組みも必要になるでしょう。

当社では、社内のコミュニケーション活性化に向けた数々のサービスを提供しています。社内報や周年プロモーション、従業員向けのブランディング施策まで幅広いご支援が可能です。ぜひインターナルマーケティングをご検討の際には、お気軽に当社までご相談ください。